ふるさと納税から自社ECへ:控除と返礼品を活かした顧客体験を考察
2025.03.22
ふるさと納税の現状:控除万歳から次のステージへ
都城市に住む私にとって、ふるさと納税は身近な存在です。
全国でも納税金額が常に上位にランクインする都城市は、ふるさと納税に非常に力を入れています。しかし、多くの地元事業者から耳にするのは、「そこから先に繋がらない」という悩みです。
確かにふるさと納税の利用者を自社ECに誘導することが難しい。だけども誘導したい。
そこで今回はどういう層が自社ECに誘導しやすいかを考察します。
ふるさと納税の特徴
税金の控除が目的
ふるさと納税利用者の多くは、税金の控除を主な目的としています。これが大きな魅力である一方で、控除目的が完了した時点で利用者の関心が薄れてしまうケースが多いようです。
実用性、即効性の高い返礼品が重視されている
人気のふるさと納税サイト(「さとふる」「ふるさとチョイス」「楽天」「Amazon」)を見ると、食品や日用品が多くランクインしています。また、ふるさとチョイスやAmazonではスピード配送というカテゴリが存在し、返礼品選びの基準として「実用性」や「即効性」が重視されていることがうかがえます。
自分へのご褒美という位置づけ
人気の食品返礼品には、マスカット、エビ、カニ、ホタテ、うなぎ、酒類といったちょっとした贅沢品も多く含まれています。これらは、普段の生活では手が届かない「特別感」を求める消費者心理に応えるアイテムであり、実用性と贅沢さを兼ね備えた選択肢となっています。
どう「その先」に繋げるか
ふるさと納税の返礼品は、控除の魅力や即効性の高い実用性で大きな支持を集めています。しかし、地元事業者が抱える「そこから先に繋がらない」という課題は大きなテーマです。
顧客との関係を一回限りで終わらせず、地元にリピーターとしての関心を持ってもらうためには、返礼品以外の体験やストーリーをどのように提供できるかが鍵となるのではないでしょうか。
控除(定数)と返礼品(変数)
ふるさと納税とは控除を目的とした返礼品選びであるということに着目すると、売上 = 控除 × 返礼品というモデルが成り立つのではないだろうか。具体的には次の通り。
- 控除(定数)
- 利用者の多くが控除という明確なメリットを基準としている。
- 返礼品優先度(変数)
- 実用性や贅沢感、速度、地域とのつながりなど、返礼品選びに影響を与える動機や属性。
何がいいたいのかというと、y = 5xという数式がある場合、yの値を動かせるのは変数であるxしかないということだ。
しかしながら、このモデルを応用すると、返礼品(x)における具体的な価値を高めることが売上(y)に直結することとなる。
では次に、その変数であるxについて深堀する。
変数の構成
この変数は大きく3つの属性に分けられるのではないかと推測する。つまりx = a + b + cだ。
- a. 実用層
- 日用品や保存可能な食品を求める
- b. 贅沢品・高付加価値層
- 商品の品質やブランドを重視
- c. 地域共感層
- 地域の物語や背景に興味がる
このとき、最終的な目的である自社ECに繋げるという役割を考えると、自社ECへの繋げやすさは次の順番ではないだろうか。
それぞれの層の特徴は以下の通り。
- 贅沢品・高付加価値層(b)
- 商品自体の魅力に基づいて行動するため、同じカテゴリで更に良いものが提案可能。実用層と比較すると価格の優先度が低いため、限定商品やオプションの提案が容易。
- 実用層(a)
- 価格や利便性を重視するため、自社ECへの誘導にはインセンティブやコストでの訴求が必要。ただしリピート購入の可能性が高い。
- 地域共感層(c)
- 商品の魅力以上に、地域貢献や物語を提供する必要がある。一度満足するとそれで関係性が終りがちであり、再度アクションを求めることが難しい。
各層へのアクション
贅沢品・高付加価値層へのアクション
限定商品の提案
返礼品よりグレードの高い限定商品を自社ECで販売。「ふるさと納税利用者限定の特別熟成肉!」
高付加価値体験の提供
さらなる付加価値を体験として提供。「和牛生産地を訪れるツアー付き」
記念ギフトセット
桐箱などの高級感のあるパッケージに特別なお礼状や限定特典を同梱。「お肉に合う、都城市特産スパイスの特別セット」
実用性重視層へのアクション
定期購入プランの提案
日常的に必要な商品をまとめて購入することで、コストダウンを実現。「毎月届く!地域特産のお米」
セット割引キャンペーン
家族向けや大容量セットなど複数購入での割引を提供。「まとめ買いで送料無料!」
実用的な関連商品の提案
購入履歴に沿った関連商品の提案。「購入商品にベストマッチ!地元の醤油や味噌を特別価格!」
リピーター向け特典
前回購入者に向けたお得なクーポンやプレゼントの提供。「ふるさと納税利用者限定!次回購入時20%割引」
地域共感層へのアクション
地域やストーリーを伝えるプラットフォーム構築
自社ECが生産者や地域へどう貢献しているかを伝える特設ページ。「都城の風景と人々を知るブログやSNS」
購入が支援につながる仕組み
商品購入で地域のプロジェクトをサポートできる仕組みを構築。「購入価格の30%が、補修や環境保護に寄付されます」
地域体験型の特典提供
実際に地域を訪問し、体験できる機会の提供。「次回購入者は現地での収穫体験イベントにご招待」
コミュニティの形成
地域と共感層がオンラインで交流できるコミュニティを形成。「生産者と直接話せるライブイベント」
物理的なタッチポイントがアピールする場所
ふるさと納税の仕組みでは、返礼品を届ける同梱物やパッケージなどの物理的なタッチポイントが唯一の接点となります。しかしながら顧客はその商品に触るしかないので、特に気に掛ける必要があります。
これについては以前、私もブログで触れたことがありますので、どうぞ参照してください。
工夫できるポイント
パッケージ
箱や包装紙自体にQRコードで限定品の紹介やレシピなど情報性をもたせる。
同梱時のワクワクを演出
商品の包む過程にメッセージカードを添えたり、地域の風景をプリントした包装紙の利用
持続的な利用価値
同梱物として再利用可能な情報や物品の提供。マグネットや次回購入ガイド、保存方法など。
ギフトのような演出
貰ってうれしい高級感のあるパッケージや、肌触りの良いパッケージにデザイン。
ストーリー性と地域性の伝達
パッケージやラベルに地域の物語や生産者のストーリーを込める。生産者の写真入りカードなど。
まとめ
ここまで紹介した提案はあくまで机上の空論であり、現場での実践とは異なる結果となる場合もよくありがちです。しかしながらこのような仮説を立てておくことは、次のアクションへの足掛かりになるのではないでしょうか。
どの選択肢が理に適っているのか、挑戦をし続けることで、ようやく自社ECへの足掛かりができるのではないかと考えます。